患者さんへ診療・疾患について

僧帽弁形成術とは?

これまで僧帽弁閉鎖不全症に対しては、壊れた弁を切除した後に人工弁を植え込む弁置換術が主流でした。しかし置換術で使われる生体弁は耐久性に劣り、機械弁は抗凝固療法としてワーファリンの内服が必要といった問題が伴います。弁形成術では自分の弁を温存し、断裂した腱索を再建したり、弁尖を切除したりして形を整えた後に、人工弁輪を用いて拡大した弁輪を縫縮します。耐久性に優れ、術後にワーファリンを飲む必要もありません。

僧帽弁形成術とは?

形成率は施設間で差がある!

逆流の形態は患者さん毎に異なるため、修復には高度な技術をもつチームが必要とされています。正確な弁の評価も極めて重要なため、心エコーグループと検討しながら手術適応や形成プランを決めており、それがチーム力の向上にもつながっています。僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成率は日本全国で約70%と言われておりますが、筑波大学では95%を超える成績を誇っています。

形成率は施設間で差がある!

心房細動がある場合は?

弁膜症の患者さんが心房細動を合併していることは少なくありません。この不整脈は心臓内に血栓を作りやすいため、術後に心房細動が残っていると、形成術ができても残念ながらワーファリンを飲み続ける必要があります。でも大丈夫!そういった患者さんにはメイズ手術を一緒に行います。

心房細動がある場合は?

メイズ手術?

心臓は規則正しい電気刺激の伝播によって収縮と拡張を繰り返していますが、心房細動では刺激が心房の中を不規則にかけめぐっています。メイズ手術は複雑な伝導ブロックを作って原因となる悪い回路を断ち切るものですが、このブロックラインがあたかも迷路(英語でメイズ)のように見えることから名づけられました。この手術も施設間でかなり差がありますが、筑波大学では80%以上の改善率を誇っています。

メイズ手術?

筑波大学附属病院における心臓弁膜症手術実績

筑波大学附属病院における心臓弁膜症手術実績

2016年の手術実績(特徴的なものを抜粋)

不整脈手術 自己弁温存大動脈基部置換術
(David手術)
弁輪拡大を伴う
大動脈弁置換術
大動脈基部置換術 経カテーテル的
大動脈弁置換術(TAVI)
26例 9例 3例 6例 25例

心臓血管外科では循環器内科と連携して患者さんの状態に合わせた最適な治療法を選択しております。ぜひ、ご相談下さい。

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