診療グループ長からのご挨拶
茨城県を中心とする広域医療圏の心臓血管外科基幹施設として、当科はその社会的責務を担っています。年間の開心術数300例、総手術数500例を超える、県内最大のハイボリューム心臓血管外科センターです。新生児から超高齢者まで、緊急性の高い大動脈疾患を含めたあらゆる心臓血管外科疾患に対して、循環器内科、小児科、麻酔科、放射線科、救急科などとハートチームを形成しながら24時間対応し、安全で質の高い最新医療の提供に努めています。血管疾患、冠動脈疾患、弁膜症(TAVI, MICSを含む)、先天性心疾患、補助人工心臓医療などの領域ごとに国内外でトレーニングを受けた経験豊かな専門医を配し、国立大学附属病院および県内唯一の特定機能病院として医学教育、医学研究、国際連携や専門医の育成にも力を注いでいます。県内の主要心臓血管外科施設はもちろん、他の大学病院や国内主要センターにも幾多の精鋭を輩出しています。
平松 祐司
筑波大学
医学医療系心臓血管外科学教授
筑波大学附属病院
心臓血管外科診療グループ長
副病院長 (診療・国際担当)
昭和48年、筑波大学は開学にあたって日本の心臓外科の礎を築いた榊原 仟副学長を東京女子医科大学から迎え、門下の堀 原一初代教授が当科を主宰しました。堀教授は医学専門学群長、副学長としてわが国の医学教育革新を主導しました。第二代三井利夫教授は心臓電気生理学の第一人者で、医学専門学群長として医学教育の発展に寄与しました。第三代榊原 謙教授は、臨床医学系長、副病院長として当科の診療実績を発展させました。
当科には創設以来、「使命を負った者の義務=ノブレス・オブリージュ」の精神が脈々と流れています。この気高い気風を継承し、患者第一主義をゆずることなく、日本の心臓血管外科医療のさらなる発展のために、グループ一同たゆまぬ努力を続けて参ります。今、日本の心臓血管外科は大きな転期を迎え、卒前卒後教育や専門医制度の見直し、ダイバーシティ、働き方改革と連動した施設集約化への流れなど多くの課題を抱えています。これらを解決に導く過程においても、何よりも患者さんと未来の医療者の利益が優先されなくてはなりません。すべての患者さんとご家族の幸福、そして志ある若き医療者のために、私たち心臓血管外科診療グループは今日も一日最善を尽くして命と向き合います。
2023年4月