臨床試験一覧

心臓手術をうける学童期・思春期患児に対する ハートチームによるプリパレーション支援効果の検討

2019/07/12

臨床研究「心臓手術をうける学童期・思春期患児に対するハートチームによるプリパレーション支援効果の検討」

 

はじめに

我が国の小児医療現場での医療行為・手術に関する説明は、理解力や判断力の乏しい子どもに対してではなく、どちらかと言えば保護者に対して優先的に行われてきた傾向がありますが、昨今子どもの認知発達段階に合わせて、『心理的準備』の説明(≒プリパレーション)を行うことが、その後の子どもたちの成長・発達の優劣に大きく関わることが数多く報告されています。しかしながら心臓手術後の統一されたプリパレーション・プログラムは確立されていないため、本研究で心臓手術をうける学童期・思春期患児に対するプリパレーション支援効果を検討した上で、新しいプリパレーション・プログラムの開発につなげていきたいと考えております。この研究は皆さま方のご協力があって初めて成り立つものですが、参加については皆さまの自由意思に基づいておりますので、以下の文書に承諾いただける場合には同意書へのご署名をお願い致します。説明内容でよくわからない・疑問に思う部分などがありましたら、遠慮なくご質問下さい。

 

研究の目的

この研究は心臓手術をうける学童期患児に対するプリパレーション支援の効果を明らかにするための研究です。なお本研究は筑波大学附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を受けております。

 

研究の方法

▼対象

筑波大学附属病院で全身麻酔下に心臓手術を受けられる方で、インフォームド・アセントの実践が可能な7歳から16歳未満の者の方が対象となります。合計で20名を予定していますが、個人情報保護の観点からあなたが何人目かをお伝えすることはできません。

▼エントリー

本研究の参加条件に適合する方の中で、本研究へご参加いただく意思を確認させていただきます。

▼期間

2020年3月31日までの間に行います。研究期間終了後のデータ保存期間は10年間です。

▼プリパレーション

プリパレーションは本説明書による同意を頂けた後から開始します。参加される方の年齢・認知発達度・心理状況などに併せてハートチームメンバー(看護師、医師、心理士等)が連携・協働して行います。プリパレーションの内容は①実際の医療器具を用いて説明するロールプレイ②医療行為をDVD・絵本等の視覚教材を用いてイメージするプレイ③手術室や集中治療室を見学するプレイなどが主体です。内容を行う順番としては①心臓手術前の外来診療中にプリパレーション前情報(病状の理解度、対処能力、心情など)を確認させてもらいます。またプリパレーションに関するDVDを鑑賞してもらいます②手術前の入院中に小児集中治療室のオリエンテーションを行うと共にプリパレーション中情報(病状の理解度、対処能力、心情など)を確認させてもらいます。またプリパレーション中は、医療スタッフが参加される方の心的変化に細心の注意を払い、強く負担を感じていないかどうかを常時判断していきますので、何か問題があれば即時対応できる管理体制となっております。

 

▼評価

心臓手術を終え退院した約1ヶ月後の外来受診時に(場所:筑波大学附属病院)、ハートチームメンバーによる面接調査と無記名自記式の質問紙調査を行い、プリパレーション後情報(病状の理解度、対処能力、心情など)を確認させてもらい、術前プリパレーションの効果判定を行います。

 

プリパレーションの安全性、有害事象発生時の対応

この研究で行われるプリパレーション・プログラムは、個々の子ども達の年齢や認知発達状況に併せて、気持ちをリラックスさせた環境の中で行われるため、治療や手技に対する不安・恐怖の増悪や心理的混乱に陥る危険性は極めて低いと考えられますが、万が一プリパレーションによって心理的負担を生じる場合には、直ちにプログラムを中止することとします。安全性確保のため、担当主治医から再開の指示が出るまでは原則プリパレーション・プログラムへの復帰はできません。試験期間中に生じた有害事象及び健康被害に対しては、一般日常診療におけるものと同様に扱われ、個々の事例に応じ医療者側の責任の範囲で最善の医療の提供という形で速やかに補償が開始されます。

 

研究計画書と結果の開示、研究成果の公表

ご希望により、研究計画書を入手したり閲覧したりすることができます。あなたのご協力によって得られた研究の成果は、匿名化された上で学会や学術雑誌などで公に発表されることがあります。

 

研究期間

この研究は2020年3月31日まで行います。研究の経過次第では、倫理審査委員会の承認を受けた上で延長される場合があります。

 

個人情報の保護とデータ閲覧

あなたの氏名など個人を特定できる情報は厳重に保管されます。データの匿名化を行います。個人情報と匿名化番号との対応表を作成しこれを鍵のかかる場所に保管することにより機密保持を図ります。情報管理者の許可なく個人情報にアクセスすることはできません。ただし、患者さんの人権が守られながらこの試験が適切に実施されているかを確認するために、この試験の関係者(当院の職員、倫理審査委員会の委員、厚生労働省の関係者、その他の試験責任医師が指名した者など)があなたのカルテなどの医療記録を見ることがあります。しかし、それらの者には守秘義務が課せられており、報告書などで、あなたの個人情報が明らかにされることはありません。この研究で得られた結果は医学雑誌などに公表されることがありますが、あなたの名前などは症例番号に置き換えられ、個人の特定はできなくなりますので、プライバシーは守られます。

 

個人情報の保管、廃棄の方法

本研究で得られたデータは、研究を中止ないし終了してから少なくとも10年間保管されます。保管期間終了後は、焼灼または裁断にてデータの削除が行われます。この試験で得られたデータが、本試験の目的以外に使用されることはありません。

 

研究の参加において受ける利益および不利益

プリパレーション及び術後面接参加に伴う精神的・心理的負担を生じる可能性はありますが、それ以外の不利益はありません。また研究へのご参加による報酬はございませんが、本研究の成果は心臓手術をうける学童期の子ども達に対する新たなインフォームド・アセントの確立に大きく寄与し得ると考えております。また本研究へのご参加はあなた自身の意思に基づくものであり強制ではございません。本研究へご参加しないことが、医療処置・判断に影響する可能性はありません。

 

研究終了後の医療の提供

本研究終了後も、継続して最善の医療が提供されます。

 

費用の負担

本研究にかかる諸費用は一切ありません。

 

研究から生じる知的財産の帰属

将来、本研究の成果が新しい発見や特許などに関係する権利を生み出す可能性がありますが、その場合その権利は研究機関や研究者などに属し、あなた個人には帰属しません。

 

研究協力の任意性と撤回

研究への参加をする・しないはあなたの意思で決めて下さい。同意されなくてもあなたの不利益になるようなことは全くありません。また、一度同意された後でも研究成果の公表前であれば、いつでも研究への参加を撤回することができます

 

利益相反事項

本研究は研究責任医師が責任をもって行っており、本研究の実施や報告の際に金銭的な利益やそれ以外の個人的な利益のために、公正・公平な判断を曲げるようなことはありません。本研究を行うことについては、当大学の倫理委員会に申請し、倫理的に問題がなく公正な研究を行うことができると判断を受けたうえで行っております。

 

研究実施責任者の氏名及び職名

筑波大学医学医療系・循環器外科 講師 松原 宗明

 

この研究に関する問い合わせ先

筑波大学医学医療系・循環器外科 講師 松原 宗明

連絡先:029-853-3097(昼間)、029-853-3525(夜間および休日)