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フォンタン術後患者に対する心臓リハビリテーション導入効果の検討

2019/07/11

臨床研究「フォンタン術後患者に対する心臓リハビリテーション導入効果の検討」

 

はじめに

単心室血行動態の心臓最終修復法であるフォンタン循環の予後改善策の一つとして昨今運動療法が推奨されており、フォンタン術後に心臓リハビリテーションを積極的に導入することが成人期の良好なフォンタン病態につながり得ると考えられています。しかしながらフォンタン術後における有用で画一された運動療法プログラムは確立されていないため、本研究でフォンタン術後の心臓リハビリテーション導入の効果を検討した上で、新しい運動療法プログラムの開発につなげていきたいと考えております。この研究は皆さま方のご協力があって初めて成り立つものですが、参加については皆さまの自由意思に基づいておりますので、以下の文書に承諾いただける場合には同意書へのご署名をお願い致します。説明内容でよくわからない・疑問に思う部分などがありましたら、遠慮なくご質問下さい。

 

研究の目的

この研究は、フォンタン術後の方に対する心臓リハビリテーション導入効果を明らかにするための研究です。なお、本研究は筑波大学附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を受けております

 

研究の方法

▼対象

筑波大学附属病院/水戸済生会病院/茨城県立こども病院に通院中の方で、心臓リハビリテーションの際に使用する自転車エルゴメータの許容身長である140cm以上の方が対象となります。また運動療法が保険診療内である方が対象となるため本研究への参加者は、左室駆出率の低下(40%以下)、血液検査から得られる脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の高値(80pg/mL以上)、もしくは心肺運動負荷検査から得られる最高酸素摂取量の低下(正常値の80%以下)がある方に限定されます。合計で30名を予定していますが、個人情報保護の観点からあなたが何人目かをお伝えすることはできません。

▼エントリー

本研究の参加条件に適合する方の中で、本研究へご参加いただく意思を確認させていただきます。

▼期間

2020年3月31日までの間に行います。研究期間終了後のデータ保存期間は10年間です。

▼運動療法:

運動療法は本説明書による同意を頂けた後から開始します。参加される方の全身状態に応じた運動療法をガイドラインに沿って行います。リハビリテーション室に可能な限り週1~3回ご来院いただき、トレッドミルや固定式自転車を用いた有酸素運動を30分間程行っていただきます。有酸素運動後には簡単で安全な筋力トレーニングも行います。プログラム参加前には、運動負荷検査で有効な運動強度を設定するほか、専門の指導士が参加される方々独自の病気の背景、体力レベル、日々の体調などを配慮した上で運動強度を調整します。運動中は心電図モニターにて継続的に心拍数を評価するほか、定期的に血圧をチェックし、負荷が強すぎないかどうかを適時判断していきます。リハビリテーション室には医師・看護師・リハビリテーションスタッフが常駐しておりますので、何か問題があれば即時対応できる管理体制となっております。

 

▼評価

運動療法開始時と終了時(約3ヶ月後)に、運動負荷試験と筋力測定を行い心臓リハビリテーションの効果判定を行います。

 

心臓リハビリテーションの安全性、有害事象発生時の対応

この研究で行われる運動プログラムは、心疾患の方に対する心臓リハビリテーションのガイドラインに則って行うため、危険性は極めて低いと考えられますが、万が一運動療法によって不整脈や心不全が増悪する徴候がみられた場合、直ちに運動療法を中止することとします。安全性確保のため、担当主治医から再開の指示が出るまでは原則運動プログラムへの復帰はできません。試験期間中に生じた有害事象及び健康被害に対しては、一般日常診療におけるものと同様に扱われ、個々の事例に応じ医療者側の責任の範囲で最善の医療の提供という形で速やかに補償が開始されます。このプログラムはあくまで患者様の自由意思に基づくものですので、運動プログラムへの参加をご希望されなくなった時点でプログラムを打ち切ることができます。

 

研究計画書と結果の開示、研究成果の公表

ご希望により、研究計画書を入手したり閲覧したりすることができます。あなたのご協力によって得られた研究の成果は、匿名化された上で学会や学術雑誌などで公に発表されることがあります。

 

研究期間

この研究は2020年3月31日まで行います。研究の経過次第では、倫理審査委員会の承認を受けた上で延長される場合があります。

 

個人情報の保護とデータ閲覧

あなたの氏名など個人を特定できる情報は厳重に保管されます。データの匿名化を行います。個人情報と匿名化番号との対応表を作成しこれを鍵のかかる場所に保管することにより機密保持を図ります。情報管理者の許可なく個人情報にアクセスすることはできません。ただし、患者さんの人権が守られながらこの試験が適切に実施されているかを確認するために、この試験の関係者(当院の職員、倫理審査委員会の委員、厚生労働省の関係者、その他の試験責任医師が指名した者など)があなたのカルテなどの医療記録を見ることがあります。しかし、それらの者には守秘義務が課せられており、報告書などで、あなたの個人情報が明らかにされることはありません。この研究で得られた結果は医学雑誌などに公表されることがありますが、あなたの名前などは症例番号に置き換えられ、個人の特定はできなくなりますので、プライバシーは守られます。

 

個人情報の保管、廃棄の方法

本研究で得られたデータは、研究を中止ないし終了してから少なくとも10年間保管されます。保管期間終了後は、焼灼または裁断にてデータの削除が行われます。この試験で得られたデータが、本試験の目的以外に使用されることはありません。

 

研究の参加において受ける利益および不利益

運動プログラムに参加する精神的・身体的な負担、および運動誘発性の不整脈の発症の可能性はありますが、それ以外の不利益はありません。また研究へのご参加による報酬はございませんが、本研究の成果は二心室修復が困難で単心室血行動態の心臓最終修復法であるフォンタン手術を目指す生まれつき重症な心臓病患児に対する今後のリハビリテーション医学の発展に大きく寄与し得ると考えております。また本研究へのご参加はあなた自身の意思に基づくものであり強制ではございません。本研究へご参加しないことが、医療処置・判断に影響する可能性はありません。

 

研究終了後の医療の提供

本研究終了後は、保険診療として最善の医療が提供されます。

 

費用の負担

リハビリテーションにかかる諸費用は保険診療の範囲内で賄われます。

 

研究から生じる知的財産の帰属

将来、本研究の成果が新しい発見や特許などに関係する権利を生み出す可能性がありますが、その場合その権利は研究機関や研究者などに属し、あなた個人には帰属しません。

 

研究協力の任意性と撤回

研究への参加をする・しないはあなたの意思で決めて下さい。同意されなくてもあなたの不利益になるようなことは全くありません。また、一度同意された後でも研究成果の公表前であれば、いつでも研究への参加を撤回することができます

 

利益相反事項

本研究は研究責任医師が責任をもって行っており、本研究の実施や報告の際に金銭的な利益やそれ以外の個人的な利益のために、公正・公平な判断を曲げるようなことはありません。本研究を行うことについては、当大学の倫理委員会に申請し、倫理的に問題がなく公正な研究を行うことができると判断を受けたうえで行っております。

 

研究実施責任者の氏名及び職名

筑波大学医学医療系・循環器外科 講師 松原 宗明

 

この研究に関する問い合わせ先

筑波大学医学医療系・循環器外科 講師 松原 宗明

連絡先:029-853-3097(昼間)、029-853-3525(夜間および休日)